プロとして生きる。介護福祉士平川里子

vol.1 介護の仕事ってどんな人がしているの?介護福祉士の仕事を体験してみた vol.1 介護の仕事ってどんな人がしているの?介護福祉士の仕事を体験してみた

こんにちは、ライターの中馬さりのです。

みなさんは介護に対してどんなイメージがありますか?

いつかは家族を介護しないといけない。
いつかは自分も誰かに介護を頼まないといけない。

そんな、いずれ向き合わないといけない「しんどい問題」だと私は思っていました。

でも、いつか自分事になる話だからこそ本当のところを知りたい……!

ということで、今回は兵庫県の施設で介護福祉士を勤める
平川(へがわ)さんにお話を伺いました。

介護ってどんなことを考えて何をするものなの?
介護福祉士さんのお仕事ってどんなものなの?

本当のところを聞いてきました!

介護って何するの?
介護福祉士の1日のスケジュール

介護福祉士の現場では
「羞恥心への配慮」を忘れずに

今日はよろしくお願いします!まずは介護がどんなものなのか知りたくて……。
1日の仕事内容からお聞きしてもいいですか?
よろしくお願いします!
介護施設によって差があると思うんですが、平均的な私の仕事内容はこんな感じです。

1. 排せつ介助
2. 入浴介助
3. 体操
4. 食事の補助
5. 入居者さんとのお話しやリハビリの補助
6.夜勤の職員への申し送り

ここまではイメージ通りです……!
せっかくなので、実際のお仕事を見せてもらえますか?
もちろんです。まずは排せつ介助から行きましょう!
自分でお手洗いに行ける方にはお声がけや誘導をしますが、自分でお手洗いに行くのが難しい方もいるので、
その場合はオムツを利用しています。
声をかけたり誘導したりはわかるのですが、……。
1日に何回もたくさんの人をオムツ交換をするって思うと大変だなぁ……。
約60名の方々が生活をしているので、毎日3人くらいの介護福祉士で分担して行っています。
そうか、1人で全部やるわけではないんですもんね。その時に気を付けていることってありますか?
「羞恥心への配慮」ですね。
羞恥心への配慮???
例えばオムツをそのまま持ち歩くのではなく、ブルーのビニールバックに入れて周りには見えないようにしたり。
みんながいるところでは、「体重を計ろう」って誘ってお手洗いへの移動をサポートしたり。
今からお手洗いに行きましょう!って誘いだと、恥ずかしい方もいますもんね。
そう。介護だからってわりきれる方もいますが、ここでは日常的な生活のように過ごしてほしいので、
そういった部分にも配慮しています。
病院での療養や宿泊旅行とは違って、日常生活のサポートを行っている、と。
ここで生活する方達からすれば、ここでの時間は「普段の日常」ですからね。
だからこそ、家にいるような気楽さや自由さも必要だと考えています。

入浴介助は超ハイテク!?

次は入浴補助です!
なんかタイムトラベルできそうな機械がでてきた……!
これは座った状態で入浴できる介護入浴機器です。せっかくですし入ってみますか?
……!

ということで、平川さんの指導のもと初めての介護入浴機器に入ってみました。

こちらの介護入浴機器だったら、入居者さんは車椅子から専用椅子に乗り換えるだけ。
介護福祉士さんはその椅子を押して機械に持って行くだけで入浴ができます。

すごーーーい!さっきまで椅子だったのにしっかり湯船に浸かってる!!!
私、平川さんよりも身長も体重もあるんですけど大丈夫ですか?
大丈夫ですよ!
車輪がついているので、車いすを押しているのと同じ感覚です。
もう1つ種類があって、こちらの入浴設備なら車椅子の使用が難しい方でも大丈夫です。
さらに近代的なのがでてきた……!
左の担架に寝転んでもらったら、私たちがマシンの中まで押します。
作動するとシャワーのように温水がシャーッてでてきて、温まってもらえます。
なんか全然イメージと違いました。おうちにある湯船ってないんですか?
もちろん一般的なご家庭の浴槽もあります。入居者さんのご希望や身体の状況に合わせて使用します。
私がイメージしていた介護って一般的な浴槽を使ったものでした。
だから体力的にも介護福祉士の仕事って大変そうだなって。
今ではほとんどの福祉施設に、介護入浴機器が導入されています。
機械でないと危険な場合もあります。入居者さんにも介護士にも負担にならないように配慮しています。

個人的な感想ですが、思っていた以上に介護の現場は近代的でした。
こういうギャップを知れば知るほど「もしもの時はプロに相談できる」と安心した気持ちに。

利用者さんとの信頼関係があって成り立つ介護

同じ施設内で働く介護福祉士、看護師、栄養士、生活相談員とのカンファレンスでは、
入居者のケアプランをみんなで考えています。

入居者さんの今日の様子や体調、「誰とどんな会話をしたか」、「何をしたら喜んでくれたか」
といった情報を共有します。

介護の専門職として施設の中でも普段の日常を過ごしていただけるよう心がけ、
活き活きと生活していただけるように、一人ひとりに合わせたケアを考えています。

もちろん、食事のサポートも担当します。

弱視の入居者には、おかずの位置を説明しながら提供したり、
食事の形態によって、見た目でどんな料理かわからないと感じる入居者もいるので、
念入りに説明しています。

食堂でのレクリエーションも大切な仕事。
介護福祉士さんが中心になって、手や表情を動かす体操をしたり、
馴染みのある曲を毎日歌ったり踊ったりしています。

平川さんを中心にワイワイと楽しむ方もいれば、
ちょっと離れたところでマイペースに参加する方もいて。
誰も無理したり気を使ったりしない、マイペースな共同生活なのだと感じました。

大まかに言うとこんな感じです!
あとはその時々によって、利用者さんとお喋りしたりリハビリをお手伝いしたりします。
想像より、介護って「肉体労働 <<<<<< 気遣う心」なお仕事なんですね……!
ちなみにリハビリってどんなものなんでしょう?
せっかくなんで一緒にやってみましょうか!
……!?

ということで、快くOKしてくれた利用者さんのリハビリをお手伝いをすることに!
手術をされてからは基本的に車いすで生活されていて、
毎日少しずつリハビリに励んでいるのだとか。

もしものことがないように支えつつ、声をかけていきましょう!
(もしものこと!?!! 怖すぎてやたら声かけちゃう……!でも、それはそれでウザいよな……?)
座ったり立ったりするときや、段差の部分が特に危ないので意識してみてください。

普段は一往復らしいですが、この日は3往復もした利用者さん。

わ~~~、今日はいつもの倍以上がんばりましたね!
やっぱり応援してくれる人がいると気持ちが入るのかな~。
力になれたならよかった~!
でもリハビリのお手伝いが初めてだったのもあって、どういう時に声をかけて、
どういう時はご自身の力に任せるのかの判断が難しかったです。
それはね……、経験です。
経験?!!
そう、普段の生活をしっかりみることにより、「あ、今はがんばりたい時だな」とか「大丈夫って言ってるけど助けを求めているのかな」と気付けると思っています。
その方がどんな方で、どんな生活をしたいのか、少しずつ理解を深めています。
は~……、最初から完璧なわけじゃなくて、日々の信頼関係があってこそなんですね。

介護福祉士・平川さん
インタビュー

最初は「面白そうだったから」
介護施設でパートをしてみた

ここまでで一通り介護のお仕事を見せてもらいました!
その中で気になった部分を、平川さんにお聞きすることに。

平川さんが介護のお仕事を始めたのってもう10年くらい前ですよね。
どうして介護福祉士になろうと思ったんですか?
「面白そうだな~」って思ったからですね。
介護が、面白そう???
そう、最初はパートだったからすごく軽い気持ちで始めました。
オムツ交換なども含めすべてが新鮮で、実際にやってみて「やっぱり面白い!」と思って、
先輩からも「面白いと思える仕事につくことはいいことだね」って背中を押してもらいました。
一般的に大変そうなことも、あまり苦ではなかったんですね?
そうですね、どんな介護をしても、いちいち「すごいな~」と感じたというか、
苦労と思うよりなんだか楽しい感じで。
実務経験3年で介護福祉士の受験資格が得られるので、3年間働いたあとに試験を受け、資格を取りました。
介護福祉士さんって専門的な学校を出ないとダメなイメージでした……!
専門学校等を出るか、実務経験をつむかで資格取得の試験を受けられます。
パートの時は介護の補助的なお仕事がメインだったのですが、介護施設で働くことはできます。
介護施設って資格をもつ人たちしかいないイメージがあったんですけど、
資格取得前に仕事に挑戦できたりもするんですね。

介護は死にたずさわることも、やりがい!?

入所施設の場合、介護をする上でどうしても避けて通れないのが「死」なのかなって思うんです。
しかも、入居者さんと仲良くなればなるほど辛いんじゃないかなって。
うーん……、
ちょっと表現が難しいんですが、介護は死にたずさわれることもやりがいのひとつだと私は思っています。
というと……?
介護職の私たちは、どうしても他の方よりもどなたかが亡くなる瞬間に多くたずさわることになります。
だからこそ、少しでも人生最後の瞬間を幸せに感じてもらえるよう、できる限りの援助をします。
どんなことをされるんでしょう?
例えば、好きな食べ物を食べてもらったり、体調が良いときには一緒に散歩に出かけたり、
お喋りが好きな方だったら時間をつくってみたり。
でも、やっぱり「ご家族に会いたい」って方が多いので、代わりに連絡をとって家族とゆっくりした時間を
作れるように配慮
します。
本当に人生の最後にむけてサポートしてくれるんですね……。
そうやって少しでも素敵な瞬間を最後まで過ごしてもらう。
寂しい気持ちもありますが、介護の仕事はそれ以上のやりがいがあります。

制服自由、ネイルもOKな福祉施設も!

ところで……!
気になっていたんですが、介護福祉士さんって制服はないんですか?
施設にもよりますが、私の職場はないですね。ひっかかってしまいそうな危ないものは避けていますが、
基本的にはみんな好きな服を着て仕事をしています。
しいていえば、食事の時はエプロンをつけますよ!
カラフルでおしゃれなカフェみたいなやつですよね。
はい、その方が私たちも利用者さんたちも楽しい気分になるかなって。スタッフで話して使い始めたんです。
へ~~、なんか介護施設ってそういう見た目の部分に厳しそうなイメージがあったのでびっくりです。
そのあたりは本当に施設によると思います。この施設は「スタッフ自身が自分の人生を充実させられなかったら、
周りの人の人生も充実させられない」
って考え方なので、自由な部分が多いです。
そういえばネイルも可愛いですよね!
ふふふ、そういった身の回りのちょっとしたことから、入居者さんや他のスタッフとも会話が広がるんですよ。
女性目線で、そういうのって好みが出るから話しかけやすくなるし、
人がやってる可愛いデザインを見るだけでも癒されますもんね。
利用者さんとふれあってる時に簡単なマッサージをしてあげたいと思って、
エステの資格の取得も考えているんです。
介護のお仕事=重労働というイメージでしたが、明るい雰囲気というか、現場で働かれているみなさんは
けっこう楽しく、そしてやりがいを持って仕事に取り組まれている感じなんですね。
そうですね。この施設は自由度がけっこう高い方だと思いますが、
介護=辛い・しんどいではありませんので、自分と相性の合う施設を見つけてもらえたらうれしいです。

さいごに

私たちも自分の周りの人も、いつかは高齢者になります。

つねに思い浮かべることではないけれど、いずれは自分が介護をする可能性も、
介護を受ける可能性もあります。

そうなった時に、あなたはどんな老後を考えていますか?

私は自宅で家族と過ごす時間もほしいけれど、
家にいるように「普段の日常」がおくれる施設も良いのではと思いました。

とくに入浴やリハビリなど技術の差がある部分をプロにお願いできたら、
自分を含めた家族の負担を減らせるかも。

そんな風に、介護って知れば知るほど将来の選択肢が増えるもの。
向き合いにくいと自分で勝手に勘違いしていたけれど、しんどいだけじゃありませんでした。
本当に奥の深いお仕事です。

介護福祉士さんの仕事の内容や実際の介護の状況が伝わって、
将来のお仕事の選択肢のひとつに加わったら……と思います。