プロとして生きる。社会福祉士 谷間大樹

vol.2 相談援助のスペシャリスト!?社会福祉士の実際の仕事を体験レポート! vol.2 相談援助のスペシャリスト!?社会福祉士の実際の仕事を体験レポート!

こんにちは、ライターの中馬さりのです。

みなさん、「社会福祉士」って職業を聞いたことはありますか?
なんとなく福祉関係のお仕事なんだろうとイメージはできるものの……。
恥ずかしながら、私はまったく知りませんでした。

平たくいうと、「福祉や医療に関する相談援助のスペシャリスト」

といっても、いまいちピンときませんよね……。

でも、20代、30代でバリバリ仕事をしている人も、事故などで身体に障がいを負う可能性があるし、
年を重ねたときだけでなく、明日お世話になってもおかしくない存在なんだとか。

なんなんだそれ、気になる……!
ということで、今回は兵庫県で社会福祉士として活躍されている
谷間(たにま)さんにお話を聞きました。

今日はよろしくお願いします!
社会福祉士さんのお仕事について、がっつり聞かせてください。
よろしくお願いします。
では、ひとまず福祉センターの事務所に向かいましょう!

相談者に適切なサポートを行い、
自立した生活を
支援する社会福祉士

生活の困りごとについて相談できる

ということで、向かったのがこちらの事務所。

勤務されている施設が特別養護老人ホームに併設されている事務所ということもあり、
入居者さんに感染させないように、
インフルエンザ対策でマスクを徹底していること以外は普通のオフィスですね。

ここが私のデスクです。
おお……!ただ、そもそも社会福祉士さんのお仕事内容がつかめていないので、どちらかというと
介護施設にオフィスがあることに驚いています。
そうなんですね!
じゃあまずお伝えすると、日常生活を送るのが難しい人の相談者として、その方々をサポートするのが
主な仕事になります。
「日常生活を送るのが難しい人」って言いますと……。
例えば、一人暮らしの高齢者の方、身体的な障がいをお持ちの方、母子家庭の方
精神的な疾患をお持ちの方、お仕事がなく経済的にお困りの方など、本当にさまざまです。
噂どおり、社会福祉士さんの仕事の幅は広いんですね。
私の場合、特別養護老人ホーム内にある居宅介護支援事業所に勤めているので、
高齢者の方の相談が中心になっています。
具体的に、どのようなお仕事内容になるのでしょうか?
居宅介護支援といって、ご自宅におられる要介護者の方を対象としているので、
その人たちに会いに行く外回りの仕事が半分と、もう半分がデスクワークになります。
まずデスクワークからお聞きしてもいいですか?
デスクワークでは行政や病院等の関係機関や
住民の方々からの問い合わせの対応と相談支援、記録の作成が多いですね。
例えば、どういったものでしょうか?
例えば……、高齢者の方が病気やケガで入院した場合、退院後に自宅での介護が大変だから、
福祉施設に入居するといったケースも少なくありません。
そういった際に、病院から「どうしましょうか?」と相談が入ります。
退院と聞くと元気な姿で自分の家に戻るイメージですが、
高齢者の場合、そうとばかりも言えないわけですね……。
そうなんです。もちろん、すべての方が施設に入所するというわけではありません。
退院直後の状態にあった支援・サービスを提案していきます。例えばご自宅に帰る場合、
住宅改修の提案やサポートを行ったりして、介護の環境を整えます。
家の中を整備するとか、そんな相談もできるんですか!?
もちろん、私一人でじゃなく、ケアマネジャーを中心に、リハビリの専門家である理学療法士さんや、
改修工事を手がける工務店の方などと一緒にですけどね。
ご本人とご家族の意見や経済状況などをうかがいながら、その方の状態にあった家の改修を
ご提案させていただきます。
廊下に手すりを取り付けたり、専用のベッドを入れたりとか、そんな感じですか?
そうですね。あとは、和式のトイレを洋式にしたりとか、ほんといろいろです。
また、住宅改修に関していいますと、介護保険以外に、各市町村独自の補助制度などもありますので、
総合的にご案内させていただいています。
様々な制度のことを教えてもらえるのはすごくありがたいですね!!!
各制度によって窓口や手続きの手順なども変わってくるので、適応できると考えられるものを紹介し、
詳しく説明します。場合によっては、申請先の機関に話をつなげることもあるんですよ。
福祉サービスを使輪なければいけない時は不安になっている事が多いと思うので、
このように社会福祉士さんに相談できると安心ですね。
インターネットでも調べられるので、最近では内容などを把握されている方も増えてきています。
でも、中には間違った情報をそのまま信じている方もおられて……。
そういった場合、正しい情報をお伝えするのも私たちの仕事です。

各専門機関や専門職の方と連携し、
最適なケアのあり方を探る

今お話したのは病院からの相談の事例ですが、他にも訪問看護事業所や障がい者相談支援事業所など、
さまざまな機関からも問い合わせがあり、看護師さんや精神保健福祉士さんといった
専門職の方々と連携を取り、それぞれの方にとってより良い支援のあり方を探ります。
確かに、自分一人や家族だけだと、どういったケアや支援を受けるのが最適なのか、
知識がないからわからないですもんね。
そういった社会的な資源をご紹介し、つなぐのが社会福祉士の大きな役割です。
なるほど……!
でも、この近隣住民の方々をすべてカバーしてるんですか? 細かい情報が多すぎて大変そうです。
電話は1日40件くらいかかってきますね。でもデータはパソコンで管理していますし、
ケアマネジャーさんとも連携して対応しています。
ケアマネジャーさん?
ケアマネジャーというのは高齢者の方へ援助・相談を行う資格保有者です。

ケアマネジャー:介護保険制度に基づき高齢者の方へ援助・相談を行い、
ケアプランを作成する専門家、介護支援専門員。

実は私は社会福祉士と併せ、ケアマネジャーの仕事も兼務しています。
そうだったんですね!?
この施設でいうと私以外に、5名のケアマネジャーさんが一緒に働いています。

居宅介護支援サービスを受ける方が、自宅での自立した生活をする上での
希望や要望を実現するために作成されるのがケアプランで、
月に1回以上ケアマネジャーが生活状況の確認のために利用者さんの元へ足を運びます。

ケアマネジャーとして現場に行くと、そのご家庭の経済的な問題であったり、
介護をするご家族の精神的な問題であったり、本当にいろいろな問題をめのあたりにします。
それで、より幅広いケアに対応できる社会福祉士の勉強を始め、資格を取得したんです。
なるほど! 福祉の現場の問題は、それだけ複雑化してるんですね。
大変ですけど、その分だけやりがいも大きな仕事です!

施設に入るのがゴールじゃない。
理想の暮らし方をサポートする

先ほども少しお話しましたが、残り半分は外回りをしています。
相談をしてくれた方に会いに行くこともあれば、こちらから様子を見に行くこともあります。
あとは、病院をはじめとする関連機関と打ち合わせに出かけたりすることも。
こちらから行く場合って、どういう基準でお宅に訪問されるんですか?
遠くで暮らすご家族の方から、「高齢の母が一人暮らしをしてるので様子を見てきてほしい」といった
ご連絡があったり、近隣の方や友人の方、さらには行政から要請があったり、いろいろですね。
または、病院からの要請などで、退院された方のその後の様子を伺いにいくケースもあります。
訪問されて、健康状態を確認したり、困っていることの相談にのったりするわけですね。
そうですね。例えば、足の手術を受けた方だったら、車椅子や歩行器の具合をお尋ねしますし、
家事に困っているということであれば、ホームヘルパー(訪問介護員)さんを紹介するとともに、
それにともなう介護保険の制度などもご紹介します。
そうした相談をお受けする中で、一人での生活が難しいと判断された方には、
施設への入居をおすすめする場合もあるんですよね。
はい、そうです。
……素朴な疑問なんですが、みんな快く受け入れてくれるものなんでしょうか?

いいえ。

え……?

いいえ。受け入れてもらえるとは限りません。

え~~~~!
でも、そうだと思ったんですよ! 好きで一人暮らししてるのに「施設どう?」なんて急に言われたら
怪しい勧誘に見えちゃいますもん!
もちろん、私たちとしても個人の意思をまずは尊重したいので、本心を教えてもらえるのはありがたいんです。
理想の暮らしを教えてもらったら、できる限り叶えるようサポートします。
でも、おひとりで危険だったりして、少しでも早く施設でみんなと暮らした方がいい状況もありますよね……?

……そういう場合はですね、一緒に考えたり、時には
説得もします。

えええ!?できるんですか?!
もちろん一朝一夕ではどうにもならないですよ!でも、何度もお邪魔していると、
だんだん話を聞いてもらえるようになります。
お~~~、どれくらいの期間をかけるんでしょう?
人によっても違ってきますが……、
「元気かな~」って様子を見ているうちに何事もなく10年以上の仲になった方もいます。
10年!!?!
でも、「施設に入ってもらうこと」がゴールではないですからね。
関わっているうちに日常の困り事をお手伝いできたら、それはそれで良かったなって思います。
あとは例えば、ご自身は「迷惑をかけたくないから介護施設に入りたい」と思っているけれど、
お子さんたちは「がんばるから一緒に暮らしたい」なんてケースは難しいですね。
うわ~~、どっちの気持ちもわかるから、なんだか板挟みになってしまいます。
そうなんです。家族だからこそ「こうしてあげたい」って気持ちがぶつかってしまったり、
気まずくなった後の仲直りが難しかったりする場合もあると思うんです。
そういうときはどうするんでしょう?

そういう時こそ第三者の出番です。

第三者が「どうしてわかってもらえないんでしょう?」って客観的な質問をすると
「きっとあの子もこういう気持ちで言ってくれている」って本人の中で整理がつくこともあります。
お互いに大切に思い合ってるからこそ、「きっかけ」さえあれば一気に解決することもありそうですね。

「家で過ごしたい」という
本人の気持ちと、
「長生きしてほしい」という家族の気持ち。
全部まとめてケアをする

事務所でお話を伺った後は、外回りにも一緒に行かせてもらいました。

こちらの女性は、普段は一人暮らしをしつつ、
週に数回は施設に通うデイサービスを利用する生活をおくられています。

娘さんは遠方に住んでいて、ちょこちょこ会いにきてくれるそう。
ただ、ご本人としてはうれしい反面、長時間の移動が負担にならないか心配なのだとか。

そこで谷間さんの出番!
安心してもらえるよう谷間さんが定期的に会いに行き、様子を娘さんに伝えています。

気温が変化しがちなタイミングや天気が悪いときはどうしても体調を崩してしまう方が多いんです。
なので、できるだけ外回りに行くようにしています。

施設に戻った後も、谷間さんは施設に来ていた地域住民の方とお話をしていました。
デスクワークもありますが、こうして住民の方に関わる時間も大切にしているそうです。

「援助するようで実は援助してもらっている」
社会福祉士は自分の成長を実感できる仕事

社会福祉士の存在を初めて知りましたが、こんなに周りから感謝の言葉を言われまくる職業が
あるなんて驚きました。
それはよかったです!
でも「福祉=しんどい」というイメージをもっている人も多いと思うんです。
そうですね……。あまり知らないからこそ、余計にそう思っちゃうといいますか。
でも、社会福祉士は援助をする側のようで、実は援助してもらっている仕事だと僕は思うんです。
援助してもらっている?
社会福祉士って信頼関係を築く仕事なんです。
だから、ちゃんと信頼関係を築けたら仕事も自然とうまくいきます。
確かに、お聞きした仕事内容も信頼関係ありきな感じがしました。
だからこそ、自分の成長がハッキリと実感できるんです。
気にかけたい方が増えたとか、気軽に会いに行ける方が増えたとか……。数字的なものももちろん大事ですが、
その過程で積みあがっていく「経験」が自分の成長につながっていくと常に思っています。
あ~~、誰かとの仲良し度ってテストみたいに数字で表さなくても実感できますもんね。
しかも、それにともなって仕事もうまくいくようになる、と。
そうなんです!
援助をしているようで、みなさんには私自身の成長度合いを教えてもらっているんです。
これほどやりがいを感じられるものは他にないと思います。
また、社会福祉士は活動の幅がとても広いんです。
私のように介護施設に勤めている人もいれば、学校や行政と関わっている人もいます。
社会福祉士になると、ケアできる対象の幅が広がるってことでしたもんね。活かせる可能性が多い。
介護施設によっては、地域との関わりを大切にしていたり、イベントをたくさん行なっていたり特徴があります。
将来、どんな風に福祉と関わりたいか考えて、勤め先や働き方が選べるんです。
そういえば、谷間さんのいるこの施設は「自分の人生を充実させてこそ、周りの方の人生も充実させられる」
ってスタンスなんですよね。
はい。僕は仕事以外では、もっぱら筋トレに力を入れています。
筋肉は裏切らないって言いますもんね。
そう!淡路島で1番マッチョな社会福祉士といえば私なんです!!!
え、わぁ~~~、めっちゃ見せつけてくる。
谷間だけに谷間がすごいみたいな!!!!!

ドスッッッ……。

自分の人生の充実を周りの人の元気につなげていくという意味がわかった気がします。
今回は社会福祉士として活躍される谷間さんにお話を伺いました!
仮に困ったことがあったときに、身近に頼れる存在がいると思うと安心感がありますね。

あなたが住む街の役所や福祉施設にも、社会福祉士さんがきっといるはずです!
社会福祉士の仕事について少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。